h1が複数あるのは直すべき?見出し構造の判断基準
無料のSEO診断ツールに自社サイトのURLを入れると、たいてい黄色や赤の警告がずらりと並びます。そのなかでよく見かけるのが「h1タグが複数あります」「見出しの階層が正しくありません(h2の次にh4が使われています)」という2つです。
h1やh2というのは、記事の大見出し・中見出しを表すHTMLの目印です。番号が小さいほど大きな見出しを意味します。ツールが「複数ある」「順番が飛んでいる」と言っているのは、この目印の付け方が教科書どおりではない、という指摘です。
この警告を見て、多くの担当者が同じところで止まります。「順位が下がっているのは、これが原因なのだろうか」「制作会社に修正を頼むべきなのか」。この記事では、自社サイトを自分で良くしたい立場の担当者に向けて、この2つの警告を直すべきものと放っておいてよいものに仕分ける判断基準を整理します。結論を先に言うと、判断すべき軸は順位ではなく、別の2つです。
Googleの公式ガイドが見出しの数と順序について書いていること
まず、公式の記述で確認できる範囲を押さえます。ここを曖昧にしたまま進むと、「たぶんダメなんだろう」という不安だけで作業が増えていきます。
Google 検索セントラルの「SEO スターター ガイド」には、「重複コンテンツは『ペナルティ』になる」といった思い込みを1つずつ否定していく流れのなかに、「見出しの数や順序」という項目が置かれています。そこでの記述はこうです。見出しを意味的な順番にすることはスクリーンリーダーにとっては素晴らしいことですが、Google 検索にとっては順番どおりに使われていなくても問題ありません。スクリーンリーダーは、目が見えにくい方などが使う画面読み上げソフトのことです。
同じ箇所では、その理由にあたる説明も添えられています。ウェブは一般に正しくないHTMLで書かれているため、Google 検索がHTML規格に潜むセマンティクスの意味に依存することはめったにない、というものです。セマンティクスというのは、見た目ではなく「これは大見出し」「これは段落」といった意味づけのことです。世の中のHTMLがそもそも規格どおりに書かれていないので、Googleはその意味づけをあてにしていない、という趣旨になります。
数についても同じパートに書かれています。ページごとに魔法の見出し数や理想的な見出し数といったものは存在しない、とされています。「h1は必ず1ページに1つ」「見出しは5つ以上入れる」といった数のルールは、少なくともこのガイドの記述からは出てきません。
ここで大事なのは、公式の記述で確認できるのが「順序が順番どおりでなくても問題ない」「理想的な見出し数はない」というところまでだという点です。ツールの警告が指摘している教科書どおりでない状態のうち、順序と数については、公式ガイドがわざわざ誤解の側に分類している、と読めます。
一方、同じガイドはコンテンツの作り方として、長い文章は段落や章などに分け、全体を見通せるように見出しを付けることを、読みやすくよく整理された文章の条件として挙げています。見出しそのものは要らないという話ではまったくなく、「読者が全体を見通せるように付ける」ことが目的として示されている、という整理になります。
順位ではなく、検索結果に出る見出しの側に影響が出ることがあります
では、h1が複数ある状態はまったく無害なのでしょうか。ここで見る場所を変えます。順位ではなく、**検索結果に表示される題名(タイトルリンク)**の側です。タイトルリンクは、検索結果で青い文字の見出しとして大きく出る、あのリンク部分のことです。
Google 検索セントラルの「検索結果のタイトルリンクの管理」には、次の記述があります。Googleは、ページ上でメインとなる大見出しや、見出し要素、その他の大きく目立つテキストなど、タイトルリンクを作成する際のさまざまなソースに注意を払う。つまり検索結果の題名は、HTMLの<title>だけから決まるわけではなく、ページ上の見出しも材料に入っている、ということです。
そして、まさに今回のテーマに直結する一文が続きます。複数の見出しのフォントサイズや目立ち具合が同じだと、Googleのシステムに混乱が生じる可能性がある。この文脈は、あくまでタイトルリンクを作る処理の話です。だからこそ同じドキュメントは、大見出しは、ページ上の他のテキストと区別でき、ページで最も高い視認性を持つ見出しとして目を引くようにすることを検討するよう勧め、その例としてフォントを大きくすることや、題名のテキストをページの最初に目立たせることを挙げています。
さらに、ページに関する問題を検出した場合、Googleはアンカー、ページ上のテキスト、その他のソースを基に、より良いと考えられるタイトルリンクを自動的に生成することがあるとも書かれています。同じドキュメントには、<title>が「2020年度の入学条件」のままなのにページ上の大見出しは「2021年度の入学基準」になっている例が載っており、Google 検索がこうした不一致を検出し、ページに表示されるタイトルの適切な日付をタイトルリンクで使うことがあると説明されています。タイトルリンクを手動で好きな文字列に変更することはできない、という前提も明記されています。
ここから引ける実務上の線はかなり具体的です。h1が2つあること自体を順位の問題として心配するより、**「そのページで一番大きく目立っている見出しは、検索結果に出てほしい題名になっているか」**を見るほうが、公式の記述に沿った点検になります。よくあるのは、ヘッダーのロゴやサイト名がh1になっていて、記事本文の題名も同じくh1、という構成です。この場合、見出しが2つある点よりも、どちらがそのページの主役として目立っているかが曖昧になっていないか、が点検対象になります。検索結果の題名がどう決まるかという話全体は、タイトルと説明文でクリック率を上げる でも扱っています。
なお、これらはいずれも「可能性がある」「〜することがある」という書き方の記述です。h1を1つに整えれば必ず狙った題名が表示される、という保証にはなりません。同じドキュメントが挙げているように、タイトルリンクの材料には見出し以外のものも含まれるので、見出しを整えても狙った文字列にならないことはあり得ると考えておくのが安全です。
直すべきか、放っておいてよいかの判定表
以上を踏まえて、ツールの警告を仕分けます。「順位のため」ではなく、「検索結果の題名」と「読者の見通し」の2軸で判定するのが、この表の考え方です。
| ツールの警告 / 症状 | 公式の記述で確認できること | 直す優先度 | 判断の理由 |
|---|---|---|---|
| h2の次にh4が来る(階層が飛んでいる) | 順番どおりに使われていなくてもGoogle検索にとっては問題ない、と明記 | 低 | 順位のために直す作業ではない。ただし後述の目次テストで意味が通らないなら、読者のために直す |
| ページ内にh1が2つある(ロゴ+記事題名) | 大見出しは最も目立つ見出しとして目を引くよう検討することが推奨されている | 中〜高 | 検索結果の題名の材料になるため。ロゴ側をh1から外し、記事題名を一番目立つ見出しにする |
| ページ内にh1が2つある(本文中に対等な大見出しが2本) | 複数の見出しの目立ち具合が同じだとGoogleのシステムに混乱が生じる可能性がある | 中 | まず「1ページに2テーマ入っていないか」を疑う。分けられるなら記事を2本に分ける |
| 見出しが少ない・長文に見出しがない | 長い文章は段落や章に分け、全体を見通せるよう見出しを付ける、と推奨 | 高 | 読者の見通しに直接効く。ここは公式が推奨している側 |
| 見出しの数が「少なすぎる/多すぎる」とツールが指摘 | 魔法の見出し数・理想的な見出し数は存在しない、と明記 | 低 | 数そのものを目標にしない。次の目次テストの結果だけで判断する |
<title>とページの大見出しの内容が食い違っている | 不一致を検出し、ページ上のテキストを基にタイトルリンクを生成することがある | 高 | 意図しない題名が出る余地を自分で作っている状態。まず揃える |
優先度は、上の公式記述と「読者への影響の大きさ」から筆者が付けた目安です。サイトの事情によって順番は変わります。
見出しだけを抜き出す「目次テスト」5ステップ
順序の乱れを直すかどうかを、感覚ではなく毎回同じ手つきで決めるための手順です。ツールの警告を起点にしないところがポイントです。ツールは規格との一致を見ますが、こちらは読者が全体を見通せるかを見ます。
- 点検する記事を1本選びます。 検索から人が来ている記事、または今からリライトする予定の記事にします。すべての記事を一度に見ようとすると、まず終わりません。
- 見出しだけを抜き出して並べます。 ブラウザで記事を開き、大きい文字の行だけを上から順にテキストファイルへ写します。h1・h2・h3の別が分かるように、字下げを付けて写すのがコツです。本文は一切写しません。写している最中に本文を読み始めると、本文の記憶で補完してしまい、テストになりません。
- 本文を読んでいない人の目で読み返します。 抜き出した見出しの並びだけを読み、「この記事は何について、どういう順で説明しているか」を一文で言えるか試します。言えなければ、それが直すべき箇所です。
- 包含関係が崩れているところを探します。 中見出し(h2)の下に並ぶ小見出し(h3)が、その中見出しの話の一部になっているかを1組ずつ確認します。中見出しと同じ大きさの話が小見出しに入っていたら、格上げします。逆に、小見出しが親と無関係な新しい話題なら、中見出しとして独立させます。
- 直した並びで、もう一度3をやります。 見出しだけで全体像が伝わるようになっていれば完了です。ここまで来ると、階層の飛びはほとんど自然に解消しています。順序を「規格に合わせて」直したのではなく、意味を整えた結果として揃うのが正しい順番です。
実際に1本通してみる
たとえば、社内で作った「経費精算システムの選び方」という記事に、次の見出しが並んでいたとします。ステップ2で抜き出した状態です。
- h1: 経費精算システムの選び方
- h2: 経費精算とは
- h4: 手作業の場合の流れ
- h2: 料金の相場
- h3: 導入事例:製造業A社
- h2: 無料トライアルの申し込み方法
ステップ3をやると、すぐ引っかかります。この並びを読んで言えるのは「経費精算の説明と、料金と、申し込み方法が書いてある」までで、「選び方」の記事なのに選ぶための基準がどこにもないことが見えます。ツールが警告していたh2→h4の飛び(「手作業の場合の流れ」)は、実は些細な問題でした。
ステップ4を続けます。「導入事例:製造業A社」は「料金の相場」の一部ではありません。事例は料金の話の下位ではないので、包含関係が崩れています。ここでの選択肢は2つです。事例を料金の根拠として使うなら見出しを「相場の実例:製造業A社の場合」に書き換えて中身も料金の話に寄せる、事例そのものを見せたいなら独立したh2に格上げする、のどちらかです。
そしてステップ5に進む前に、より大きな判断が出てきます。この記事に足りないのは「選ぶ基準」の中見出しであり、見出しの直し方の問題ではなく、記事の中身が検索意図に応えていないという問題です。目次テストの本当の効果は、階層の乱れを直すことより、こうした中身の穴が見出しの並びだけで露出することにあります。 階層の飛びは、公式の記述に照らせば順位のために急ぐ作業ではありません。しかし目次テストは、順序を直す作業のついでに、もっと効く欠落を見つけてくれます。
よくある誤解と、判断に迷うケース
「h1を1つに整えたら順位が上がった」という話について。 見出しを整えるときは、たいてい同時に題名の文言を変え、構成も入れ替えています。そのうえ自社側で何も変えていない時期にも順位の見え方は動くことがあるので、h1の数だけが効いたかどうかを、後から切り分けるのは難しいものです。順位が上がったとしても、それは仮説の域を出ないと考えておくほうが安全です。
ロゴのサイト名がh1になっているテーマの扱い。 多くのCMSのテーマは、トップページではサイト名をh1にし、記事ページでは記事題名をh1にする作りになっています。この場合、記事ページでロゴがh1のまま残っているかどうかだけを確認します。残っているなら、テーマの設定で記事ページのロゴを見出し以外の要素に変えるのが、いちばん影響範囲の小さい直し方です。文字の見た目は変わらないよう指定できるので、デザインの調整とセットで依頼する必要はありません。
トップページや一覧ページはどう考えるか。 記事のように1つのテーマを説明するページではないので、目次テストがそのまま当てはまりません。この場合は「一番大きく目立っている文字が、検索結果に出てほしい題名になっているか」だけを見ます。公式ドキュメントが推奨しているのも、そのページの大見出しを他のテキストと区別できるようにする、という点です。
警告を全部消したくなる気持ちについて。 診断ツールは規格との一致を機械的に測っているので、公式ガイドが「誤解」の側に分類している項目でも容赦なく警告を出します。警告の数を0にすること自体には、読者にも検索結果にも効果が現れないことがあります。上の判定表で「低」に入る項目は、他の作業が全部終わってから触れば十分です。
自己点検チェックリスト
自社サイトの主要な記事1本を開いて、その場で当てはめてみてください。
- そのページで一番大きく目立っている文字が、検索結果に出てほしい題名になっている
- 記事ページで、ロゴやサイト名が大見出しの扱いになっていない
-
<title>の内容と、ページ上の大見出しの内容が食い違っていない(年号や商品名の更新漏れがないか) - 見出しだけを抜き出して読んだとき、記事の全体像を一文で言える
- 中見出しの下の小見出しが、すべてその中見出しの話の一部になっている
- 長い文章が、見出しのないまま何画面分も続いている箇所がない
- 「見出しの数」を目標値として追っていない
上の7つのうち、最初の3つは検索結果の題名に関わるところ、後の4つは読者の見通しに関わるところです。診断ツールの警告件数ではなく、この7項目が自社の点検基準になります。
見出しを整える作業は、検索結果でどう見えるかという話とひと続きです。題名と説明文の側から同じテーマを扱ったものとして、検索結果に設定したメタディスクリプションが使われない理由 もあわせて読むと、ページ上のテキストと検索結果の関係が見えやすくなります。
出典
