検索順位は毎日見なくていい|変動をノイズとシグナルに分ける手順
昨日は8位だった。今朝見たら11位になっている。何か直すべきなのか。
先に答えを書きます。検索順位は毎日見る必要はありません。 日々の上下の多くは、順位という数字の性質から来る揺れです。判断は週単位でそろえて比べ、「表示回数」と「クリック数」が同じ向きに動いたときだけ、原因を調べにいきます。
Google自身も、Search Consoleについて「このツールに毎日ログインする必要はありません」と書いています。サイトで新しい問題が見つかれば、Search Consoleからメールで通知が届くからです。
では、何を・どの粒度で・どの順に見ればよいのか。数字の成り立ちから順に説明します。
平均掲載順位は「平均」なので揺れる
毎日の上下が気になるのは、順位を「自分のページの席次」のように受け取っているからかもしれません。
Search Consoleに出る順位の正式な名前は「平均掲載順位」です。ヘルプでは、これはすべての表示について掲載順位の平均をとったもので、理由として「リンクの掲載順位は表示されるたびに変わるため」と説明されています。
つまり、順位はもともと1つに決まった値ではありません。表示されるたびに違う位置に出て、その平均が画面の数字になります。
平均のとり方にも、知っておきたい決まりがあります。
- 1回の検索で同じサイトのリンクが複数出たときは、いちばん上の位置だけが数えられます。 ヘルプの例では、あるクエリ(検索された言葉)で2位・4位・6位に出た場合は2位、別のクエリで3位・5位・9位なら3位として扱い、2つの平均は2.5になります。
- 実際に表示されなかった結果は、順位に記録されません。 たとえば検索結果が3ページあっても、ユーザーが1ページ目しか見なければ、2ページ目以降の結果の順位はそのクエリに記録されません。
- 順位がダッシュ(-)で表示されることがあります。 そのクエリでユーザーがサイトを表示したことがなく、順位が一切記録されていない状態です。
2つめの決まりは、特に効いてきます。順位は、リンクが実際に表示されたときにだけ記録されます。どの結果がどれだけ表示されるかは日によって違うため、その分だけ平均も動くことがあります。
さらにヘルプは、検索結果そのものが人によって違うことにも触れています。検索が行われた時間、場所、デバイス、ユーザーの最近の履歴によって、異なる検索結果が表示されるためです。自分の端末で検索して見えた順位と、Search Consoleの数字が合わないのはこのためです。
いちばん新しいデータは、まだ動くことがある
もう1つ、毎日見るときの落とし穴があります。
検索パフォーマンスのレポートでは、最新のデータは暫定値の可能性があり、その後数時間で変動する場合があります。暫定データはグラフ上に点線で表示されます。
点線の区間で上下を判断すると、確定前の数字に反応することになります。朝に見て慌てた数字が、昼にはもう変わっている。そういうことが起こりえます。
確認の頻度と粒度の目安
ここまでを踏まえた、確認のしかたの目安です。これは出典の仕様をもとにした編集部の整理で、Googleが示した基準ではありません。
| 頻度 | 見るもの | 目的 | やらないこと |
|---|---|---|---|
| 毎日 | 見なくてよい(メール通知だけ受け取る) | 重大な問題の見落とし防止 | 順位の上下で判断しない |
| 週1回 | 主要クエリ5〜10個の平均掲載順位・表示回数・クリック数を、前の週と比べる | 変化の向きを見る | 1日単位の差を追わない |
| 月1回 | ページ単位・クエリ単位で3か月の推移を見る | 構造的な変化を拾う | サイト全体の平均順位だけで結論を出さない |
| 施策の直後 | 対象ページだけを、施策前と同じ長さの期間で比べる | 施策の影響を見る | 数日で成否を決めない |
粒度のポイントは、サイト全体の平均順位で判断しないことです。全体の数字は、何百というクエリの順位をまとめたものです。1つの語が大きく落ちても埋もれますし、逆に関係の薄い語の出入りだけで大きく動くこともあります。
レポートのグラフは、すべてプロパティ(Search Consoleに登録したサイト)単位で集計されます。原因を探すなら、表の「クエリ」「ページ」「国」「デバイス」などのタブで分けて見ます。
ヘルプも、日単位の変動(週末や祝日などによる変動)を平滑化して、長期的な傾向を分析する見方を用意しています。日々の凸凹をならして見る、という考え方そのものが、Google側の前提でもあるわけです。
ノイズとシグナルの見分け方
では、週に1回見て「前の週より下がった」とき、それが揺れなのか、本物の変化なのか。
次の表で当てはめてください。
| 見るところ | ノイズのことが多い | シグナルのことが多い |
|---|---|---|
| 続く期間 | 1〜3日で戻る | 2週以上、同じ向きが続く |
| 動いた範囲 | 1つのクエリだけ | 同じページの複数クエリ、または同じ種類のページ群 |
| 表示回数 | 大きく変わらない | 順位と一緒に減っている |
| クリック数 | 大きく変わらない | 順位と一緒に減っている |
| 端末・国 | 一部だけで起きている | どの端末でも同じ向き |
| グラフ | 点線(暫定データ)の区間 | 確定済みの区間 |
判断のコツは、順位だけで決めないことです。順位が下がっても、表示回数とクリック数が変わっていなければ、実害はまだ小さいと考えられます。3つの数字が同じ向きに動いたとき、はじめて「調べる価値がある変化」として扱います。
表の各行の境目(「2週」など)は、編集部が置いた目安です。自社サイトの通常の揺れ幅が分かってきたら、その幅に合わせて調整してください。
例: メインの語が8位から12位に落ちた
ここからは架空の例で、実際に手順を通してみます。
ある会社のサービス紹介ページが、「経費精算 アプリ 比較」という語で平均8位前後にいました。週1回の確認で、今週は12位と出ています。
次の順で確かめます。
- 確定データか、期間を確かめる グラフの末尾が点線なら、その区間を外して比べます。期間は「直近7日」と「その前の7日」のように、同じ長さ・同じ曜日構成にそろえます。この例では、点線を外しても11〜12位でした。まだ判断は保留です。
- 表示回数とクリック数も同じ向きか見る 同じ語の表示回数とクリック数を並べます。この例では、表示回数はほぼ横ばいで、クリック数も大きく減っていませんでした。順位だけが動いている状態です。
- ページ単位で、ほかの語も落ちていないか見る 「ページ」タブで対象ページを選び、そのページに紐づくクエリを一覧にします。「経費精算 アプリ」「精算 アプリ おすすめ」など関連する語が一緒に落ちているなら、ページ全体の問題を疑います。この例では、落ちていたのは1語だけでした。
- 端末と国で分ける 「デバイス」タブでパソコンとモバイルに分けます。この例では、モバイルは8位のまま、パソコンだけ14位でした。パソコンの表示回数はもともと少なく、少ない表示の順位が平均を引っぱっていたと読めます。
- 2週目に同じ比較をして、続いているかを見る 翌週、同じ期間の区切りでもう一度比べます。この例では10位に戻っていました。
結論は「今回はノイズ。何も直さない」です。
もし手順2で表示回数とクリック数も落ちていたら、判断は変わります。手順3で同じページの複数の語が落ちていたら、なおさらです。その場合は変化を「シグナル」として扱い、ページやサイトの側に原因がないかを調べにいきます。調べ方はSearch Consoleでクリック数が減ったときの点検手順にまとめています。
よくある誤解: 順位が上がったのにクリックが減った
平均だからこそ起きる、ねじれた動きもあります。
平均掲載順位が良くなったのに、表示回数とクリック数が減っている。一見おかしいですが、平均のしくみを知っていれば説明がつくことがあります。
それまで30位や50位あたりで少しだけ表示されていた語が、何らかの理由で表示されなくなったとします。低い順位の表示が平均から抜けるので、数字の上では順位が良くなったように見えます。実際には、表示の機会が減っています。
だから順位は、いつも表示回数・クリック数とセットで読みます。順位が上がったことだけで「改善した」と判断しないでください。
自社サイトで今日やること
最後に、自分のサイトで確認の仕組みを整えるための点検項目です。
- Search Consoleからのメール通知を受け取れる状態か(重大な問題はこちらで気づける)
- 毎週追う主要クエリを5〜10個に絞って決めたか
- 比べる期間を「同じ長さ・同じ曜日構成」にそろえているか
- 点線(暫定データ)の区間を判断から外しているか
- 順位を見るとき、表示回数とクリック数も並べているか
- サイト全体ではなく、ページ・クエリ・端末で分けて見ているか
- 「2週続いたら調べる」など、動く条件を自分で決めてあるか
順位の揺れは、なくなりません。必要なのは、揺れに反応しない仕組みを先に作っておくことです。
なお、施策を打ったあとに変化がどんな順で表れやすいかは、SEO施策の効果はいつから出るかで扱っています。確認の頻度を決めるときの参考にしてください。
出典
