Search ConsoleとGA4の数字が合わない理由と乖離の点検手順
Search Consoleでは先月のクリック数が1,000。GA4で同じ期間のGoogle検索からの訪問を見ると820。180件はどこへ消えたのか。計測タグの設置を間違えたのではないか。そう不安になって、この数字の差を調べている担当者は少なくありません。
答えを先に書きます。2つの数字は、一致しなくても不思議ではありません。Search Consoleのクリック数は「検索結果の画面で起きたこと」を数えた数字です。GA4のセッション数は「サイトに着いたあとの訪問」をまとめた単位です。数える場所も、数え方の単位も違います。
だから、差があること自体は異常ではありません。見るべきなのは差の大きさそのものではなく、自社サイトの「いつもの差」から急に外れていないかです。
2つの数字は「数える場所」が違う
まず、言葉をそろえておきます。
- クリック数(Search Console): Googleの検索結果に出た自社サイトへのリンクが押された回数です。
- 表示回数(Search Console): 自社サイトへのリンクが検索結果に出た回数です。
- セッション数(GA4): 1回の訪問をひとまとまりにした単位です。サイトに来てから離れるまでを1つと数えます。
表示回数について、Search Consoleのヘルプは「ユーザーが検索、Discover、ニュースで自社サイトへのリンクを見た(または見た可能性がある)」ことを指すと説明しています。そして、一般的には結果の現在のページに項目が表示されれば、スクロールして見える位置まで来たかどうかに関係なく数えられる、とも書いています。
ここから読み取れるのは、Search Consoleの数字が検索結果の側で数えられているということです。一方のGA4のセッション数は、当社の整理では、サイトに着いたあとの側の数字です。クリックは「入口の扉を押した回数」、セッションは「部屋に入って過ごした回数」に近いと考えると、ずれが起きる理由が見えやすくなります。
扉を押しても、部屋に入らない人がいます。一度入った人が、扉を何度か押し直すこともあります。
差が生まれる6つの要因
では、具体的に何がずれを生むのか。公式ヘルプで確認できる仕様と、仕組みから考えられる要因を分けて並べます。
| 要因 | 多くなりやすい側 | 根拠の種類 | 確かめる場所 |
|---|---|---|---|
| ① ページが表示される前に離れる | Search Console | 仕組みからの推測 | 表示速度・モバイル比率 |
| ② 計測が止められている(拒否・ブロック) | Search Console | 仕組みからの推測 | 同意バナーの設定・導入時期 |
| ③ 30分以内に検索結果から戻ってきて再訪 | Search Console | GA4の既定タイムアウトは公式 | GA4のセッション設定 |
| ④ グラフと表で集計の単位が違う | どちらとも言えない | 公式 | Search Consoleのグラフ合計と表合計 |
| ⑤ 日付の区切り・速報データ | どちらとも言えない | 速報データは公式 | 比べている期間の粒度 |
| ⑥ GA4のセッション数は推定で集計される | どちらとも言えない | 公式 | 小さな差は気にしない |
表は置いただけでは使えないので、1つずつ冒頭の「1,000クリックと820セッション」に当てはめていきます。
① ページが表示される前に離れる
検索結果でリンクを押したあと、ページが表示されきる前に戻る人がいます。この場合、Search Consoleにはクリックとして残る一方で、GA4の計測が動く前に離れてしまい、セッションが記録されないことがあります。
表示が遅いページや、スマートフォンからの閲覧が多いページほど、この差は大きくなりやすいと考えられます。冒頭の180件の一部は、この「扉を押して入らなかった人」の可能性があります。
② 計測が止められている
訪問者がCookie(閲覧情報の保存)の利用を拒否したり、広告をブロックする機能を使っていたりすると、GA4の計測が動かない場合があります。訪問そのものはあっても、GA4には残りません。
注意したいのは、自社サイト側の変更で急に差が広がることがある点です。同意バナーを新しく入れた月から差が大きくなった、というのはよくある形です。
③ 30分以内に戻ってきて再訪する
GA4のヘルプは、ウェブのセッションのタイムアウトが既定で30分であり、管理画面から変更できると説明しています。
ここから、次のような場面が考えられます。ある人が検索結果から記事を開き、いったん検索結果に戻り、別の検索語で同じサイトの別の記事を開いた。Search Consoleではクリックが2回です。しかしGA4では、30分の区切りの中にある一連の行動として、1つのセッションにまとまることがあります。
1クリック=1セッションではない。この差は、計測の不具合ではなく単位の違いです。
④ グラフと表で集計の単位が違う
これはSearch Consoleの中だけで起きる差です。検索パフォーマンスのヘルプによると、グラフのデータはプロパティ単位で集計されます。表のうち、デバイスや日付でまとめたものもプロパティ単位です。一方、ページや検索での見え方でまとめた表はページ単位で集計されます。そのため、グラフの合計と表の合計が異なることがある、と書かれています。
GA4と比べるときに効いてくるのは、ここです。GA4で「ランディングページ(訪問者が最初に開いたページ)」ごとにセッション数を見るなら、Search Console側もページ単位の表の数字と比べるのが筋です。グラフの合計とページ別の数字を混ぜて比べると、2つのツールの差に、Search Consoleの中の差が上乗せされます。
⑤ 日付の区切りと速報データ
Search Consoleでは、期間を24時間表示にすると、グラフの各点が1時間単位になり、速報データを含むとヘルプに書かれています。また、グラフと表の時間の粒度は、1時間・1日・1週間・1か月から選べます。
速報データを含む直近の数字は、後から変わる可能性があると考えておくのが安全です。また、2つのツールで日付の区切り方(タイムゾーンの設定など)がそろっている保証はありません。日別で比べると、日の境目にまたがる訪問の分だけ数字が揺れることがあります。比べるなら週単位か月単位にしておくと、この揺れの影響を受けにくくなります。
⑥ GA4のセッション数は推定で集計される
GA4のヘルプは、アクティブユーザーやセッションなどよく使われる指標について、HyperLogLog++という方式で個別の件数を推定していると説明しています。そのため、以前の計算方法と比べて小さな差が出ることがある、としています。
同じヘルプには、レポートとBigQuery(GA4のデータを書き出して分析する仕組み)でセッション数がわずかに違う例が載っています。先週はレポートで1,463、BigQueryで1,501。今週はレポートで1,828、BigQueryで1,876。数は少しずつ違いますが、どちらも25%の増加です。
この例は、乖離の見方そのものの手本になります。**同じGoogleのツールの中でさえ、数は完全には一致しない。それでも増減の方向は読める。**Search ConsoleとGA4を比べるときも、同じ考え方が使えます。
「いつもの差」から外れたかを見る5つの手順
ここまでの要因を踏まえて、差が正常の範囲か、何か起きているのかを判断する手順にします。
- 比べる範囲をそろえる: 期間は1か月単位にします。Search Consoleは検索の種類を「ウェブ」にし、ページ別の表で対象ページのクリック数を取ります。GA4は、Google検索からの訪問に絞り、同じページをランディングページとしたセッション数を取ります。
- 乖離率を出す: 「(クリック数 − セッション数)÷ クリック数」で、何%少ないかを出します。
- 過去3か月分を並べる: 同じ計算を過去3か月分も行い、その幅を「自社サイトのいつもの差」とします。
- いつもの幅から外れているかを見る: 当社の目安では、いつもの幅から5ポイント以上外れた月だけを調べる対象にします。幅の中に収まっていれば、差の大きさ自体は気にしません。
- 外れた月の変化を洗い出す: 同意バナーやタグの変更、ページの作り替え、リダイレクト(別URLへの転送)の追加、表示速度の悪化など、その月に自社サイトで変えたことを並べ、上の表の①〜③のどれに当たりそうかを当てはめます。
5ポイントという数字は、Googleが示している基準ではありません。サイトの規模や訪問者の傾向で、いつもの差は大きく変わるからです。大事なのは固定の正解値を探すことではなく、自社の過去と比べることです。
冒頭の例で通してみる
冒頭のサイトで、ある記事ページについて5つの手順を実際に当てはめてみます(数字は説明のための例です)。
- 手順1・2: 今月はクリック数1,000、セッション数820。乖離率は18%です。
- 手順3: 過去3か月は16%・19%・17%でした。いつもの幅は16〜19%です。
- 手順4: 今月の18%は幅の中に収まっています。調べる必要はありません。
ところが翌月、同じページでクリック数1,050に対してセッション数が610だったとします。乖離率は約42%です。いつもの幅から20ポイント以上外れています。
- 手順5: その月に変えたことを洗い出すと、月の初めにCookieの同意バナーを入れ替えていました。要因の②に当たる可能性が高い、という仮説が立ちます。
ここで注意したいのは、これは「仮説」にとどまる点です。同じ月に検索順位が動いたり、スマートフォンからの訪問の割合が変わったりしていれば、要因が重なっている可能性もあります。同意バナーの設定を確認し、翌月以降に乖離率が元の幅に戻るかで確かめていきます。
よくある誤解:「連携すれば数字はそろう」
GA4とSearch Consoleは連携できます。GA4のヘルプによると、連携するとGA4の中で、どの検索語がクリックにつながったか、そしてそのクリックがどのランディングページでの関わりや主要なイベント(申し込みなど、重要として設定した行動)につながったかを分析できるようになります。
ただし、連携したからといって、2つの数字がそろうとは限りません。当社では、連携を2つの数字を同じ画面で見比べやすくするものと捉えています。並べて見られるようになる分、差が目に入りやすくなる、と考えておくと慌てずに済みます。
また、GA4のヘルプでは、Search Console関連のレポートは連携を作るときに選んだウェブのデータストリーム(GA4に計測データを送る経路)のデータを使うとしています。複数のデータストリームがあるプロパティでは、比べているデータの範囲が自社の想定と合っているかも確認しておくと安心です。
2つの数字の使い分け
一致しない2つの数字は、役割を分けて使うと迷いが減ります。
| 知りたいこと | 使う数字 | 理由 |
|---|---|---|
| 検索結果でどれだけ見られ、押されたか | Search Consoleの表示回数・クリック数 | 検索結果の側で数えた数字だから |
| どの検索語から人が来ているか | Search Consoleのクエリ別の表 | 検索語はSearch Consoleが持つ情報だから |
| 来た人がサイトで何をしたか | GA4のセッション数・主要なイベント | サイトに着いたあとを記録した数字だから |
| 計測が壊れていないか | 2つの乖離率の推移 | いつもの差からの外れで異常に気づけるから |
社内で報告するときも、この分担を先に決めておくと話が早くなります。たとえば「検索での集客力はSearch Consoleのクリック数で、サイトでの成果はGA4で見る。2つの差は毎月の乖離率で監視する」と決めておけば、数字が合わないこと自体で議論が止まりにくくなります。
自己点検チェックリスト
数字が合わずに不安になったら、次の順に確かめてみてください。
- 比べている期間は、週単位か月単位になっているか
- Search Consoleのグラフ合計とページ別の表の数字を混ぜていないか
- GA4はGoogle検索からの訪問に絞れているか
- 直近数日の速報データを含めて比べていないか
- 乖離率を過去3か月と比べたか
- いつもの幅から外れた月に、同意バナー・タグ・リダイレクトの変更がなかったか
すべて確認して、乖離率がいつもの幅に収まっているなら、その差は2つのツールの仕様の違いから来ていると考えてよいでしょう。
GA4側でGoogle検索からの訪問を正しく取り出す方法は「GA4の流入チャネルの見方|まず見る3つの数字と異常の見分け方」に、Search Consoleのクリック数そのものが減ったときの点検の順番は「Search Consoleのクリック数が減った時に確認する5つのチェックポイント」にまとめています。差の監視とあわせて使ってみてください。
出典
