AI作成の開示はSEOに影響する?公式の記述と判断基準
「AIで作成」と書いたら、順位は下がるのか
AIで下書きした記事が増えてきた。読者に正直でいたい。でも「AIを使っています」と書いたら、検索で不利になるのではないか。そう迷って、注記を入れたり外したりしていませんか。
先に答えを置きます。今回確認した Google の公式ドキュメントには、開示を入れると順位が上がる、あるいは下がる、という記述は見当たりません。書かれているのは、作り方の情報を読者に伝えることを「検討する」という方向の案内です。
だから、問いを立て直すのが近道です。「開示は検索に効くか」ではなく、「この記事の読者は、作り方の説明を求めるか」。この問いで開示の要否を決めると、記事ごとに迷わずに済みます。
公式ドキュメントに書かれていること
まず、出典で確かめられる範囲を4つに分けて押さえます。
一つめは、生成 AI コンテンツのガイダンスです。Google 検索セントラルの「Google 検索と AI 生成コンテンツに関するガイダンス」には、読者にとって意味のある形で、コンテンツがどのように作られたかの情報を加えることを検討するよう書かれています。例として挙がっているのは、自動化をどう使ったかの背景情報を示すことと、画像のメタデータ(画像ファイルに埋め込む作成情報)を加えることです。同じ箇所では、ネットショップ向けに Google Merchant Center にも AI 生成コンテンツのポリシーがあることに触れています。
二つめは、2023年の検索セントラル ブログです。このページの要約欄には、AI 生成コンテンツは合理的に期待される場合に、明確な開示と著者情報を含めるべきだという趣旨の一文があります。同じ要約は、Google のシステムがコンテンツの有用性を評価し、スパムを見分けるためのシグナル(判断材料)を使うとも述べています。
三つめは、「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」です。ここでは、誰がコンテンツを作ったか、どのように作られたか(自動化や AI の利用を含む)、そして最も重要なこととして、なぜ作られたかに焦点を当てるよう書かれています。あわせて、検索順位の操作よりも人の役に立つことを優先し、大量の低品質なコンテンツを作らないよう求めています。
四つめは、スパムに関するポリシーです。禁止される行為の一覧に、「大規模なコンテンツの不正利用(scaled content abuse)」が含まれています。
抜粋から言えること、言い切れないこと
並べてみると、公式の記述は「開示しなさい」という命令の形をしていません。「検討する」「期待される場合に」という条件つきです。
ここから言えることと、言い切れないことを分けておきます。
| 公式の記述 | 自社で言えること | 言い切れないこと |
|---|---|---|
| 作り方の情報を、読者に意味のある形で加えることを検討する | 開示は読者のための情報として設計すればよい | 開示すれば評価が上がる |
| 合理的に期待される場合に、明確な開示と著者情報 | 読者が作り方を気にする記事ほど、開示の優先度が高い | どの記事でも開示が必須 |
| 焦点は「誰が・どのように・なぜ」。最も重要なのは「なぜ」 | 開示は「どのように」に答える手段の一つ | 開示だけで「なぜ」まで満たせる |
| 大規模なコンテンツの不正利用はスパム | 開示の有無より、量産の仕方のほうが問題になりうる | 開示を入れればスパム扱いを避けられる |
最後の行が、見落とされやすいところです。開示は、中身の問題を帳消しにする免罪符ではありません。逆に言えば、作り方に問題がない記事が、開示を書いたことで不利になると心配する根拠も、今回の抜粋からは見つかりません。
開示を3つのパターンに分ける
開示の書き方は、全部の記事で同じにする必要はありません。ここからは独自の整理ですが、実務では次の3パターンに分けると運用しやすくなります。
| パターン | 中身 | 向いている記事 | 置き場所 |
|---|---|---|---|
| A. 全面明記 | 記事ごとに、AI をどの工程で使い、人がどこを確かめたかを書く | 本文の大部分を AI が生成した記事。AI 生成の画像が内容の中心にある記事 | 本文の冒頭か末尾、著者情報の近く |
| B. 制作体制の補足 | サイト共通の「編集方針」ページで、AI の使い方と確認体制を説明し、各記事から参照する | 下書きや構成案に AI を使い、人が書き直して確認している記事 | 著者欄や記事末尾から編集方針ページへのリンク |
| C. 開示不要 | 記事ごとの開示は入れない | 誤字の確認や言い換え候補など、補助的な使い方にとどまる記事 | なし(編集方針ページがあればそれで足りる) |
迷ったときは、パターンBを既定にしておくのが無難な場合が多いです。サイト全体で1か所に書くので、記事ごとの書き忘れや表記ゆれが起きにくいからです。
開示の要否を決める3つの問い
パターンの選び方は、次の順で問いを当てると決まります。
- 読者は「これはどうやって作ったのか」と気にするか。 体験談、製品の比較、お金や健康にかかわる判断材料など、書き手の確かさが読者の判断を左右する記事ほど、作り方の説明が求められやすくなります。公式の「合理的に期待される場合」に近いのは、この問いです。
- AI は、どの工程をどこまで担ったか。 構成案だけか、下書きまでか、本文のほぼ全部か。担った範囲が広いほど、記事ごとの説明(パターンA)に寄せます。
- 人は、どこを確かめたか。 数字や制度の記述を原典で確認したか、自社の経験を書き足したか。ここが空白なら、開示文を書く前に確認作業そのものが足りていません。
3つめの問いが、いちばんつまずきやすいところです。開示文を書こうとして、「担当者が確認」と書ける箇所が無いと気づく。その場合に必要なのは、文言の工夫ではなく確認作業です。
通し例:2本の記事で判定してみる
架空の BtoB サービス会社のブログで、2本の記事に3つの問いを当ててみます。
記事1:「勤怠管理の用語集」。用語の定義を並べた記事で、構成案と初稿を AI で作り、担当者が全項目を社内資料と照らして書き直しました。
- 問い1: 用語の定義を読みに来た読者が、作り方を気にする場面は多くありません。
- 問い2: AI は構成案と初稿まで。
- 問い3: 全項目を担当者が確認済み。
判定はパターンBです。記事末尾に「編集方針」へのリンクを置けば足ります。
記事2:「勤怠管理システム3製品の比較」。比較表の下書きを AI に作らせ、そのまま公開する予定でした。
- 問い1: 製品選びの判断材料なので、読者は「誰がどう調べたのか」を気にします。
- 問い2: 比較表の中身のほとんどを AI が作っています。
- 問い3: ここで止まります。各製品の料金や機能を、誰も公式情報と照らしていませんでした。
この記事は、開示文を書く前に差し戻しです。料金と機能を担当者が確認し、自社で試した所感を足してから、パターンAで工程を明記します。さきほどの表の「開示だけで『なぜ』まで満たせる、とは言い切れない」が、まさにこの場面です。
そのまま使える開示文の型
パターンAとBの文面は、「どの工程に AI を使ったか」と「人がどこを確かめたか」の2点を必ず入れると、読者に伝わりやすくなります。
- パターンAの例:「この記事は、比較表の下書き作成に生成 AI を使用しました。各製品の料金・機能は編集部が2026年10月時点の公式情報で確認し、使用感は編集部が試用した結果にもとづいて書いています。」
- パターンBの例:「当サイトの記事は、構成案や下書きの作成に生成 AI を使う場合があります。公開前に、編集部が事実関係と表現を確認しています。(詳しくは編集方針ページへ)」
避けたいのは、「この記事は AI が書きました」の一文だけで終わる形です。誰が内容に責任を持つのかが伝わらず、読者の不安だけが残ることがあります。公式が焦点として挙げる「誰が」「どのように」のうち、「どのように」の半分にしか答えていないからです。
よくある勘違い:開示を外せば安全か
「不利になるかもしれないなら、書かないでおこう」。そう考えて、開示をすべて外したくなる場面もあるでしょう。
ただ、問題になりやすいのは開示の有無より中身のほうです。公式のスパムポリシーが挙げているのは、大規模なコンテンツの不正利用でした。生成 AI のガイダンスも、品質評価ガイドラインの「大規模なコンテンツの不正利用」と「手間・独自性・付加価値がほとんどない主なコンテンツ」の節を参考先として示しています。開示を外しても、量産した中身の薄さは変わりません。
もう一つの勘違いは逆向きです。「開示を入れたから誠実さが伝わり、順位も上がる」。これも、今回の抜粋からは言えません。開示はあくまで読者が判断するための情報です。順位の変化を見るときは、記事の中身の改善や検索需要の変化など、ほかの要因と切り分けて見る必要があります。
自社サイトの自己点検表
最後に、その場で当てはめられる点検表を置きます。1つでも「いいえ」があれば、該当する記事から3つの問いを回してください。
| 確認すること | はい / いいえ |
|---|---|
| AI の使い方と確認体制を説明する編集方針ページ(または同等の説明)がある | |
| 本文の大部分を AI が作った記事に、記事ごとの開示がある | |
| 開示文に「どの工程に AI を使ったか」と「人がどこを確かめたか」の両方が入っている | |
| 製品比較・体験談など読者が作り方を気にする記事で、確認した人と確認内容が書けている | |
| 開示文を書けない(確認した箇所が無い)記事を、そのまま公開していない | |
| 開示の有無を、順位が変わった原因として決めつけていない |
AI を使った記事を公開してよいかの点検手順は「AIで書いた記事はペナルティ?公式の判定軸で点検する」に、著者情報の見せ方は「著者名がないとSEOで不利?公式の考え方と名義の決め方」にまとめています。
出典
