著者名がないとSEOで不利?公式の考え方と名義の決め方
自社ブログの記事には、書いた人の名前がない。あるいは全部「編集部」になっている。それで検索順位が下がっているのでは、と不安になる方は少なくありません。
先に答えを書きます。著者名は、書き足せばその分だけ順位が上がる「点数」として考えないほうが安全です。Google の説明の中心にあるのは名前そのものではなく、「誰が書いたのかが読者に分かること」です。
だから、全記事に個人の実名を並べる必要もありません。記事の種類ごとに、読者が書き手を知りたくなるかどうかで名義を決めれば十分です。
E-E-A-T は「特定のランキング要因」ではない
著者情報の話でよく持ち出されるのが E-E-A-T です。経験・専門性・権威性・信頼性の頭文字で、Google がコンテンツの質を考えるときの観点を指します。
ここでまず押さえたい一文があります。Google 検索セントラルの「有用で信頼性の高い、ユーザーを最優先するコンテンツの作成」は、E-E-A-T そのものは特定のランキング要因ではないと書いています。そのうえで、E-E-A-T の優れたコンテンツを見分けられる複数の要因を組み合わせて使うことが役立つ、と説明しています。
そのため、著者名を書けば決まった点が入る、という単純な足し算で考えるのは避けたほうがよいでしょう。
では著者名は無関係なのか。そうでもありません。同じページは、E-E-A-T を直感的に理解しやすいのは「誰が作ったのかが明確なとき」だとして、「Who(誰が)」を考えるための自己点検の問いを挙げています。
- 誰がそのコンテンツを書いたのか、訪問者にとって一目で分かるか
- 署名(バイライン)があってしかるべきページに、署名があるか
- 署名から、その著者の経歴や扱っている分野などの詳しい情報にたどれるか
さらに、誰が作ったのかを明確に示していれば、E-E-A-T の考え方に沿っていて成功への道を進んでいる可能性が高い、とも述べています。読者が署名を期待しそうなコンテンツには、正確な著者情報を加えることを強く勧めています。
ここで効いているのは「読者が期待する場所に」という条件です。全ページに必須とは書かれていません。
名前を出すより先に、避けるべきこと
不安から慌てて対策すると、逆方向に振れることがあります。
同じドキュメントは、欺くような著者情報を使わないよう明記しています。例として挙がっているのは、AI で生成した顔写真や架空の名前、偽りの経歴を使って作成者のプロフィールをでっち上げることです。
「著者名がないと不利らしい」と聞いて、実在しない「SEOコンサルタント山田」を全記事の著者にする。これは、ドキュメントが避けるよう求めている行為そのものです。
名前がないことより、嘘の名前があることのほうが問題になります。編集部名義のまま正直に運用するほうが、架空の個人より筋が通ります。
名義は記事の種類で決める
では、どの記事を個人名にして、どれを編集部や会社名義にするか。ここからは公式の記述そのものではありません。先ほどの「Who」の問いを記事の種類に当てはめた、自社で判断するための目安です。
軸は2つです。読者がその記事で「書いた人の経験や資格」を気にするか。そして、その書き手が今後もプロフィールを保守できるか。
| 記事の種類 | 読者が書き手を気にする度合い | おすすめの名義 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 施工事例・導入事例・体験レポート | 高い | 担当者の実名+プロフィール | 「実際にやった人」かどうかが記事の価値そのものになりやすい |
| 資格や専門知識が前提の解説(税・法律・健康・お金など) | 高い | 有資格者の実名、または監修者の実名 | 誤りの影響が大きく、読者が根拠となる経歴を確かめたくなる |
| 一般的なノウハウ・用語解説 | 中くらい | 編集部名義+編集方針ページ | 個人の経験より、情報の正確さと更新の責任が問われやすい |
| お知らせ・キャンペーン・製品情報 | 低い | 会社名義 | 発信元が会社であること自体が答えになる |
迷う記事は「読者がこの記事を読み終えたあと、書いた人を検索しそうか」で決めます。しそうなら実名側、しなさそうなら組織名義側です。
もう1つの軸である保守も軽く見ないでください。個人名で出すなら、その人が異動や退職をしたあと、プロフィールを誰がどう扱うかを先に決めておく必要があります。決めずに始めると、退職者の古い肩書きが残り続けることがあります。
例:リフォーム会社のブログで当てはめる
架空の例で表を1回通します。地域のリフォーム会社が、次の3種類の記事を書いているとします。
- 「築30年の浴室をユニットバスに替えた事例」
- 「住宅リフォームで使える補助金の探し方」
- 「年末年始の営業日のお知らせ」
一つめの施工事例は、表の1行目にそのまま当たります。読者が知りたいのは「この会社の誰が、どんな現場を何件見てきたのか」です。担当した施工管理者の実名を出し、プロフィールに担当年数や得意な工事を書くと、「Who」の問いにまっすぐ答えられます。
二つめの補助金記事は、お金に関わる解説なので2行目に寄ります。社内に制度に詳しい担当者がいれば、その人の名前で書くか、確認した人として名前を添えます。いなければ編集部名義にして、出典と最終確認日をはっきり書くほうが誠実です。
三つめのお知らせは4行目です。会社名義で十分で、ここに個人名を出しても読者の判断材料は増えません。
同じブログの中で名義が混ざるのは、おかしなことではありません。記事ごとに読者が知りたいことが違うからです。
既存記事の著者欄を棚卸しする手順
名義の方針が決まったら、既存記事を一度に見直します。
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記事を一覧にして種類を振る 管理画面やサイトマップから記事URLを書き出し、上の表の4種類のどれに当たるかを1列追加します。迷った記事は保留にして先へ進みます。全件を完璧に分類するより、事例記事と専門解説だけ先に拾えれば足ります。
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署名の有無と名義を記録する 各記事を開いて、本文の上か下に署名があるかを見ます。テンプレートの都合で署名が出ていない記事が見つかることがあります。表の「おすすめの名義」と食い違う記事に印を付けます。
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署名からたどれるかを確かめる 署名の名前をクリックして、著者ページや会社概要ページに移動できるかを試します。公式ドキュメントの「Expertise(専門性)」に関する問いには、著者ページへのリンクやサイトの概要ページを通じて、著者や運営元の背景が分かるかという観点があります。名前だけが置かれていて、どこにもつながらない状態は直す候補です。
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著者ページの中身を埋める 個人の著者ページには、担当業務、経験年数、書いている分野を書きます。編集部名義なら、編集部が誰で構成され、どんな方針で記事を確認しているかを書きます。ここに書けない経歴は書きません。
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構造化データを担当者に依頼する 最後に、記事ページの構造化データ(検索エンジン向けに書き手や公開日を機械が読める形で伝えるコード)を、制作担当やエンジニアに確認してもらいます。依頼の要点は次の節にまとめました。
手順2と3は、10記事ほど試すだけでも傾向が見えます。全記事で同じ抜けが起きているなら、記事ではなくテンプレートを直すほうが早いです。
構造化データで依頼する内容
構造化データは、画面に見えている著者情報を検索エンジンに正確に渡すためのものです。名前を盛るための道具ではありません。
Google の「記事(Article)の構造化データ」には、著者のマークアップについてのベストプラクティスがあります。担当者に渡すときは、次の表の形にすると話が早く進みます。
| 確認すること | 公式ドキュメントの記述 | 自社での確認方法 |
|---|---|---|
| 画面の著者と一致しているか | ページ上で著者として示している人は、全員マークアップにも含める | 共著の記事で、2人目が抜けていないかを見る |
| 共著の書き方 | 著者は1人ずつ別の項目に分けて書き、1つの項目にまとめない | 「山田・佐藤」のように1つの名前欄に並べていないかを見る |
| 名前欄に余計な情報がないか | 名前欄には著者名だけを書き、会社名・肩書き・敬称は入れない | 「株式会社〇〇 山田様」のようになっていないかを見る |
| 人と組織の区別 | 人には Person、組織には Organization の型を使う | 編集部名義の記事で人の型、個人の記事で組織の型になっていないかを見る |
| 著者を特定するURL | 型に加えて url(または sameAs)を使うことを強く勧めている。url には著者を一意に示すページ(SNS、自己紹介ページ、経歴ページなど)を指定する | 手順3で整えた著者ページのURLが入っているかを見る |
表の最後の行には続きがあります。そのURLがサイト内のプロフィールページなら、その著者をプロフィールページの構造化データ(ProfilePage)でマークアップすることを勧めています。また、Google は著者を見分けるときに sameAs と url のどちらも理解できる、と書いています。
ProfilePage を付けてよいページには条件があります。「プロフィール ページ(ProfilePage)の構造化データ」によると、ページの主な焦点が、そのサイトと関係のある1人の人物または1つの組織でなければなりません。有効な例として、ニュースサイトの著者ページ、ブログの自己紹介ページ、会社サイトの社員紹介ページが挙がっています。店舗のトップページのように、プロフィール以外の情報が多いページは無効な例です。
先ほどのリフォーム会社なら、施工管理者の紹介ページは対象になりえます。会社のトップページは施工事例やお知らせなどプロフィール以外の情報が多くなりやすく、店舗トップページと同じ理由で条件から外れやすいと考えられます。
よくある誤解:「編集部名義はSEOで損をする」
最後に、いちばん多い誤解を1つ整理します。
公式ドキュメントの問いが見ているのは、名義の種類ではありません。読者が書き手や運営元の背景を確かめられるかどうかです。公式の問いにも「著者または運営元の背景」とあり、著者ページだけでなくサイトの概要ページも選択肢として挙がっています。
ですから、編集部名義でも次の3点がそろっていれば、「Who」の問いには答えられます。
- 署名から編集部の紹介ページにたどれる
- 編集部の構成と、記事を確認する方針が書いてある
- 運営会社の情報(会社概要)にたどれる
反対に、個人の実名を出していても、プロフィールが名前1行だけなら読者には何も伝わりません。名義の種類より、たどった先の中身で差がつきます。
次にやること
まずは手順1〜3を、自社の事例記事と専門的な解説記事だけに絞って試してください。署名がない、署名からどこにも行けない、という記事が見つかれば、そこが最初の修正対象です。
著者情報は E-E-A-T を整える作業の一部にすぎません。中身の側から見直す手順は 中小サイトのE-E-A-T改善|経験と一次情報で見直す手順 にまとめています。構造化データのどれから手をつけるか迷ったら 構造化データは何から入れる?優先順位の決め方 も参考になります。
出典
