GA4の流入チャネルの見方|まず見る3つの数字と異常の見分け方
GA4を開いて、トラフィック獲得レポートまでは来た。Organic Search、Direct、Referral、Unassigned。行は並んでいるのに、どこを見て何を判断すればいいのかが分からない。
答えから書きます。最初に見るのは3つだけです。「セッションのデフォルト チャネル グループ」(どの経路から来た訪問か)、「セッション数」(訪問の回数)、「エンゲージメント率」(しっかり見てもらえた訪問の割合)。この3つを、前の期間と並べて比べます。
数字そのものより、動き方を見ます。セッション数が大きく動いたチャネルがあれば、その中身を「セッションの参照元 / メディア」で開いて原因を探す。流れはこれで全部です。
ただし、チャネルの名前を言葉どおりに受け取ると判断を誤ります。Directは「常連さん」の意味ではありません。Unassignedは「測定の失敗」とも限りません。ここからは、Googleのヘルプに書かれた定義を確かめたうえで、見る順番、異常を疑う目安、そして急増したときの切り分けを1つの例に通していきます。
このレポートは「訪問ごとの入口」を数えている
最初に、どの物差しで数えているかを確かめます。ここを取り違えると、あとの判断がすべてずれます。
GA4のヘルプによると、チャネルを表す項目は1つではありません。「セッションのデフォルト チャネル グループ」は、ユーザーが新しいセッションを始めたときにどの経路から来たかを表します。一方の「最初のユーザーのデフォルト チャネル グループ」は、ユーザーが最初にどの経路から来たかを表します。前者はセッション単位、後者はユーザー単位です。
セッションとは、訪問者がサイトを利用している一続きの時間のことです。ヘルプの指標一覧では、「セッション数」はサイトやアプリで始まったセッションの数と説明されています。
参照元とメディアについても同じ区別があります。「セッションの参照元 / メディア」は、新しいセッションを始めたときにどこから来たかを表し、訪問のたびに変わる、とヘルプに書かれています。「最初のユーザーの参照元 / メディア」とは、ここが違います。
実務での意味はこうです。同じ人が、最初は検索から来て、翌週はブックマークから来た。この場合、セッション単位の集計では1回目がOrganic Search、2回目がDirectに入ります。トラフィック獲得レポートは「人」ではなく「訪問の入口」を数えていると考えると、数字の動きが読みやすくなります。
主なチャネルの定義と、読み違えやすい点
チャネルは、Googleが決めたルールで自動的に振り分けられます。ヘルプには、この定義は大文字と小文字を区別せず、編集もできない、とあります。つまり、こちらで振り分け方を変えることはできません。変えられるのは、自分が付ける目印の書き方のほうです。
よく目にするチャネルを、ヘルプの定義と並べます。
| チャネル | ヘルプの定義(要旨) | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| Organic Search | 自然検索結果の広告以外のリンクから来た訪問。GoogleのAIによる概要とAIモードも含む | 振り分けは検索サイトの一覧またはメディアが organic かで決まる。Googleだけの数字ではない |
| Direct | 保存したリンク、またはURLの直接入力で来た訪問。参照元が (direct) で、メディアが (not set) か (none) | 「ファン」「指名検索」とは限らない。紙の広告やチラシのURLを手で打ち込んだ訪問もここに入る |
| Referral | 他のサイトやアプリの、広告以外のリンクから来た訪問。メディアが referral・app・link のいずれか | どのサイトから来たかは、参照元を開かないと分からない |
メールのリンクから来た訪問。参照元かメディアが email・e-mail・e_mail・e mail のいずれか | メルマガのURLに付けた計測用の目印が、この綴りと違うと別のチャネルに落ちる | |
| Unassigned | どのチャネルのルールにも当てはまらなかった訪問 | 「壊れた」のではなく「分類できなかった」。多くは自分で付けた目印の書き方が原因になりうる |
表の読み方を、2つだけ補います。
一つめはDirectです。ヘルプの定義は「保存したリンクかURLの直接入力」です。URLを手で打ち込んだ訪問は、誰のものでもここに入ります。紙のチラシを見た初めての人も同じです。Directが増えても、すぐに「ファンが増えた」とは言えません。
二つめはEmailとUnassignedの関係です。メルマガのリンクには、計測用の目印(URLの末尾に付ける utm_source や utm_medium などのパラメータ)を付けることが多いはずです。ここでメディアを mail や newsletter と書くと、Emailのルール(email などの綴り)にも、Referralのルールにも当てはまりません。すると、その訪問はUnassignedに入ります。後半の例で、まさにこれが起きます。
まず見る3つの数字と、見る順番
定義が分かったら、あとは画面です。手順は次の5つです。
- 期間を決めて、前の期間と比べる設定にする。 1日単位だと曜日の差で数字が揺れます。まずは直近4週間と、その前の4週間を比べるくらいが扱いやすい幅です。季節の影響が大きいサイトなら、前年の同じ時期とも並べます。
- 行を「セッションのデフォルト チャネル グループ」にして、セッション数の多い順に見る。 上位3〜4チャネルで全体のほとんどを占めることが多いはずです。変化を見るのは、まずこの上位からです。小さなチャネルの割合が倍になっても、全体への影響は小さいことがあります。
- エンゲージメント率を並べる。 エンゲージメント率は、「エンゲージメントのあったセッション」の割合です。ヘルプの定義では、10秒を超えて続いた、キーイベント(成果として設定した行動)が発生した、2ページ(2画面)以上が見られた、のどれかを満たすセッションがこれにあたります。ヘルプには、ほとんどのレポートは初期状態ではエンゲージメント率を含まない、ともあります。列が見当たらなければ、レポートをカスタマイズして追加します。
- 大きく動いたチャネルを1つ選び、「セッションの参照元 / メディア」で中を開く。 チャネル名だけでは原因は分かりません。どの参照元・どのメディアの行が増えたかを見て、はじめて「何が起きたか」の仮説が立ちます。
- Organic Searchが動いたときは、Search Consoleの数字と照らす。 GA4には、Search Consoleから取り込んだ「Google 検索のクリック数」などの指標があります。ヘルプによると、これらはSearch Consoleとのリンクが有効な場合にだけ使えます。リンクしていなければ、Search Consoleの画面で同じ期間のクリック数を見ます。
2と3を分けているのには理由があります。セッション数だけを見ると、「増えた=良い」と読んでしまいがちです。エンゲージメント率を横に置くと、その増え方が中身を伴うのかが見えます。
異常を疑う目安(自己点検表)
では、どのくらい動いたら「異常かもしれない」と考えるか。次の表は、公式の基準ではありません。自社サイトの点検で使える、この記事としての目安です。サイトの規模や業種で揺れ幅は変わるので、自分のサイトの普段の動きを見て調整してください。
| 症状 | 目安 | まず疑うこと | 次に見るところ |
|---|---|---|---|
| あるチャネルのセッション数が急増し、エンゲージメント率が大きく下がった | 前の期間比でセッションが1.5倍以上、エンゲージメント率が10ポイント以上低下 | 意図しない流入(機械的なアクセス、内容の合わない紹介リンクなど) | そのチャネルの参照元 / メディア、着地したページ |
| Unassignedが増えた | 全体の数%を超える、または前の期間比で2倍以上 | 計測用の目印の書き方がルールに合っていない | Unassignedの行の参照元 / メディア |
| Directが増えた | 前の期間比で1.5倍以上、かつ他チャネルに説明できる変化がない | 紙の広告・チラシなど、URLを手入力させる経路を増やした | Directの訪問が着地したページ |
| Organic Searchが減った | 前の期間比で2割以上の減少 | 検索結果での表示や順位の変化、需要の季節変動 | Search Consoleの表示回数・クリック数・掲載順位 |
| Referralが急増した | 特定の参照元が1つで急に上位に入った | 紹介記事に載った、または内容と関係のない参照元 | その参照元のエンゲージメント率 |
表の1行目が、いちばん見落としやすいパターンです。訪問が増えたのに、ほとんど読まれていない。これはセッション数だけを見ていると「伸びた」と見えてしまいます。
逆に、どの行にも当てはまらない小さな上下は、追いかけなくてかまいません。毎週の数%の揺れまで原因を探すと、時間ばかりかかります。
例:UnassignedとDirectが急に増えた週を切り分ける
表を1回、具体的な場面に通します。以下の数字はすべて説明のための仮の例です。
ある会社のサイトで、直近4週間を前の4週間と比べました。
- Unassigned:前は月40セッション程度、今回は約320セッション
- Direct:約1,200セッションから約1,900セッションへ
- エンゲージメント率は、Unassignedが60%台で、ほかのチャネルと大差なし
自己点検表の2行目と3行目に当てはまります。手順の4に進みます。
Unassignedの中を開く。 行を「セッションの参照元 / メディア」に切り替えると、newsletter / mail という行が増加分のほとんどを占めていました。先月からメルマガのリンクに目印を付け始め、メディアを mail と書いていたのです。Emailのルールが受け付けるのは email・e-mail・e_mail・e mail の綴りです。mail はEmailにもReferralにも当てはまらないので、Unassignedに入った、というのが筋の通る説明になります。
ここで大文字と小文字を疑う必要はありません。ヘルプのとおり、チャネルの定義は大文字と小文字を区別しないからです。Email と email の違いでは、振り分けは変わりません。直すべきは綴りそのものです。次回の配信から utm_medium=email にそろえれば、以後の訪問はEmailに入る見込みです。
エンゲージメント率が他チャネル並みだった点も、判断を支えます。機械的なアクセスなら、率は大きく下がりやすいからです。読まれている訪問が、分類だけ外れていた。そう考えるのが自然です。
Directの中を開く。 Directは定義上、参照元が (direct) です。参照元 / メディアで開いても、中身はほぼ1行になります。そこで見る場所を変え、Directの訪問が着地したページを確かめます。すると、増加分の多くが同じキャンペーンページに集まっていました。紙のチラシに載せたURLが、そのページだったのです。チラシのURLを手で打ち込めば、定義どおりDirectに入ります。
結論はこうなります。Unassignedの増加は目印の綴りの問題で、配信側で直す。Directの増加は、チラシという目印を付けにくい経路の結果で、異常ではない。どちらも、サイトそのものの不具合ではありませんでした。
もしUnassignedの増加分が特定の見知らぬ参照元に集まり、エンゲージメント率も極端に低かったら、判断は変わります。その場合は表の1行目、意図しない流入を疑う側に回ります。
よくある誤解
「Directが多いのはファンが多い証拠」。ヘルプの定義は「保存したリンク」か「URLの直接入力」です。その中には常連の訪問も入りますが、例のチラシのように、目印を付けにくい経路の訪問も入ります。Directの多さだけで、ブランドの強さは測れません。
「Organic SearchはGoogle検索の数字」。振り分けは、検索サイトの一覧にある参照元か、メディアが organic かで決まります。Google以外の検索サイトからの訪問も入ります。ヘルプには、GoogleのAIによる概要とAIモードからの訪問も含まれると書かれています。Google検索だけの動きを見たいときは、Search Consoleの数字を使います。
「Unassignedは計測の失敗だから無視していい」。Unassignedは、どのルールにも当てはまらなかった訪問です。数が小さいうちは気にしなくてかまいません。ただ、例のように自分で付けた目印が原因のことも多く、放っておくと、本来Emailで見たい成果が見えなくなります。
Organic Searchが動いたら、Search Consoleで続きを見る
GA4のOrganic Searchが減ったとき、GA4の中だけでは原因までたどれないことがあります。GA4に取り込まれる「Google 検索の表示回数」も、もとはSearch Consoleが集計した数字です。
減少がSearch Consoleの表示回数の減少と重なっているか。表示回数はそのままで、クリック数だけが落ちているのか。この違いで、次に打つ手が変わります。Search Console側の点検の順番は、Search Consoleのクリック数が減った時に確認する5つのチェックポイントにまとめています。
まとめ:週に一度、3つの数字を並べる
GA4の流入チャネルは、チャネル・セッション数・エンゲージメント率の3つを前の期間と並べれば読めます。大きく動いたチャネルだけを「セッションの参照元 / メディア」で開き、原因の仮説を立てる。DirectとUnassignedは、名前ではなく定義で読む。これで、画面の前で迷う時間はかなり減るはずです。
まずは自社サイトのトラフィック獲得レポートを開き、Unassignedの行を参照元 / メディアで開いてみてください。見覚えのある目印が並んでいたら、綴りをそろえるところから始められます。計測用パラメータを付けたURLが検索に与える影響が気になる場合は、計測用パラメータ付きURLの正規化を確かめる手順もあわせて参照してください。
出典
