ドメイン貸しはどこから違反か 公式の線引きと自己点検
自社ドメインの下に、外部の会社が作った記事やクーポンページを置いている。それだけで違反になるのか。——なりません。
Google のスパムに関するポリシーは、線をもっと手前ではなく、別の場所に引いています。サードパーティのコンテンツを使っているというだけでは、サイトの評判の不正使用に関するポリシーに違反したことにはならない。違反になるのは、そのコンテンツが「すでに確立されたホストサイトのランキング シグナルを利用すること」を主な目的としてホストサイトで公開されている場合だけだと明記されています。
判定の軸は、誰が書いたかではないということです。何のためにそのドメインに置いたか。ここで分かれます。
だから点検すべきなのは、外注記事の本数でも提携先の数でもありません。「うちが中身に責任を持って関わっているか」を、区画ごとに言えるかどうかです。
「サードパーティのコンテンツ」の範囲は、思っているより広い
まず範囲を確認しておきます。ポリシーの定義では、サードパーティのコンテンツとは、確立されたホストサイトとは別の当事者が作成したコンテンツを指します。別の当事者の例として挙げられているのは、そのサイトのユーザー、フリーランサー、ホワイトラベル サービス(他社が作ったものを自社名義で提供する仕組み)、ホストサイトに直接雇用されていない人物です。
つまり、外注ライターに書いてもらった記事も、利用者が投稿したレビューも、提携先から受け取ったページも、定義上はすべてここに入ります。
慌てる必要はありません。範囲が広いのは、違反の網が広いからではないからです。「誰が書いたか」で判定しない、という設計の裏返しにすぎません。範囲を広く取ったうえで、違反かどうかは別の条件で絞る。その条件が、さきほどの「ランキング シグナルの利用が主な目的か」です。
公式の例を、自社の区画に当てはめてみる
ポリシーには具体例が載っています。サードパーティによって書かれた短期ローンのスポンサー付きレビューに関するページが、教育関連のサイトによってホストされている。しかも同じページがウェブ上の他のサイトにも配信されている、という例です。
この一文には、判定に効く要素が三つ入っています。
一つめは、テーマの断絶です。教育のサイトに、短期ローンのレビュー。読者の関心が地続きになりません。
二つめは、金銭が絡んでいること。「スポンサー付き」と明示されています。
三つめは、同じページが他サイトにも配信されている点です。そのドメインの読者のために書き下ろされたものではない、という証拠になります。
自社の区画を思い浮かべてください。三つのうち、いくつ当てはまりますか。三つとも当てはまるなら、公式が違反の例として挙げた形にかなり近い、ということになります。
監督があると言えるか:5つの質問
「主な目的」は相手の頭の中の話なので、外からは直接見えません。見えるのは、自社がどう関わっているかの痕跡だけです。そこで、区画ごとに次の5つを自問します。
| # | 点検する質問 | 監督があると言える状態 | 危ういサイン |
|---|---|---|---|
| 1 | 企画を誰が決めたか | テーマ・構成の可否を自社が判断している | 完成品が届き、そのまま公開している |
| 2 | 公開前に中身を見ているか | 事実・表現・リンク先を確認し、差し戻す権限が実際にある | 確認するのは体裁とリンク切れだけ |
| 3 | サイトの主題と地続きか | 読者が同じ関心のまま読み進められる | 本業と無関係な分野が一区画だけ立っている |
| 4 | 同じ内容が他所にも出ていないか | このドメインのために書き下ろされている | 同一原稿が複数ドメインに配信されている |
| 5 | なぜ自社ドメインに置くのか説明できるか | 読者にとっての必要性で説明できる | 「そちらのドメインなら順位が付くから」と言われた |
一つめは、さきほどの「完成品が届く」形がまさにこれです。企画に自社が入っていないと、二つめの差し戻しも実務上は機能しません。断る根拠を持っていないからです。
三つめは、公式の例でいう教育サイト×短期ローンの断絶にあたります。四つめは「他のサイトにも配信されている」の裏返しです。
そして本命は五つめです。相手が依頼理由として「御社のドメインなら上位に出るので」と言ったなら、それは違反の定義そのものを相手が言葉にしてくれている状態です。ここだけは、記録に残す価値があります。
通してみる:提携先のクーポン欄を自社ドメイン配下に置く場面
提携先から「貴社サイトの /partner-coupon/ 配下にクーポン一覧を置かせてほしい」と依頼された、という場面で5つを実際に通します。
- 依頼理由を言語化してもらう(質問5)。返ってきたのが「貴社ドメインは検索に強いので、うちの単独サイトより露出が取れる」だったとします。この時点で、公開の主目的がランキング シグナルの利用に寄っていることになります。ここが最初の分岐点です。
- 原稿の権限を確認する(質問1・2)。「内容は当社で用意するので、そのまま掲載してください」なら、監督は存在しません。逆に「構成案の段階で見てもらい、修正指示に従う」なら、監督を持てる余地があります。
- 他所への配信状況を聞く(質問4)。同じクーポン一覧が他社サイトにも同一内容で置かれるなら、四つめが赤になります。
- 自社の主題との距離を測る(質問3)。自社が扱う商材と同じ領域のクーポンなのか、まったく別業種なのか。
- 5つの答えを並べて判断する。この例では、1が赤、4が赤、2は交渉次第、3は商材次第です。赤が2つ以上ある区画は、掲載の可否そのものを見直す段階にあると考えたほうが安全です。
判断が「見直す」に寄ったときの選択肢は、だいたい三つに整理できます。企画から自社が入り直して、実質的に自社コンテンツとして作り直す。掲載自体を断る。あるいは、読者向けには必要だが編集監督までは持てないという区画に限って、検索の対象から外すことを検討する(noindex の指定など)。三つめは万能の逃げ道ではなく、「順位のために置いているのではない」という運用実態を伴って初めて意味を持つ扱いだと考えてください。
よくある誤解:区画のトラフィックが落ちた=ペナルティ、ではない
2024年11月19日に発効した明確化のブログには、覚えておきたい説明があります。サイト内のセクションごとの違いを把握する取り組みによって、サブセクションがサイト全体のシグナルのメリットを得られなくなれば、トラフィックが変化する可能性がある。ただしこれは、そのサブセクションの順位が下がったことやスパムに関するポリシーに違反していることを示唆するものではなく、サイト内にあるサブセクションであっても個別に評価されていることを意味する、と書かれています。
ここは実務で効きます。区画単位で数字が動いたとき、まず疑うべきは「罰を受けた」ではないということです。ドメイン全体の力を借りていた部分が、その区画自身の評価で見られるようになった。そう読むほうが、公式の説明には沿っています。
扱う順番も決めておくと迷いません。区画単位で数字が動いたら、まずは個別評価への移行という読みで点検する。その区画が単独で読者に価値を出せているかを見て、出せていないなら中身の作り直しに向かう。この順番のほうが、原因の分からないまま対策に走らずに済みます。
よくある誤解:別のドメインに移せば消える、ではない
もう一つ、移動にまつわる誤解があります。
公式の説明は、こうです。コンテンツを削除したサイトでは評判の不正使用がなくなるため、そのサイトに対する評判の不正使用に関する問題は解決する。ただし、コンテンツの移動先のサイトがすでに評判を得ていて、サードパーティのコンテンツの目的が変わらないのであれば、移動先のサイトに対する評判の不正使用に関する問題が発生する、と。
移動は問題を消す操作ではないということです。移動先がすでに評判を得ていて、なおかつそのコンテンツの目的が変わらないままなら、同じ構図がそちらで起きることになります。グループ会社の別サイトに寄せる、という発想はここで止まります。
一方で、新しいドメインに移す場合については、新しいドメインの評判がまだ確立されておらず、Google のスパムポリシーに準拠しているのであれば、問題になる可能性はほとんどないと説明されています。ここで効いているのは、評判がまだ確立されていないことと、スパムポリシーに準拠していることの二つです。どちらかが欠ける状況は、この説明の対象から外れると読むほうが安全です。
そしてもう一点。コンテンツを移動する際は、再審査リクエストを送信して手動による対策を削除する必要があると明記されています。移せば自動的に解ける、ではありません。
どう検出され、何が起きるのか
対策の重さも押さえておきます。ポリシーの説明では、Google は自動システムと、必要に応じて行われる人間による審査によってポリシー違反を検出しており、場合によっては手動による対策を実施するとされています。ポリシーに違反しているサイトは、検索結果での掲載順位が下がったり、まったく表示されなかったりすることがあります。
「一区画だけの話」で収まる保証は、この記述からは読み取れません。だからこそ、貸している区画は数が少ないうちに棚卸ししておくほうが安全です。
同じブログには、サイト所有者への呼びかけとして、更新したポリシーをよく読んで理解すること、そして検索エンジンでのランキングを上げることではなくユーザーにとって有用なコンテンツの作成に向かうことが書かれています。5つの質問は、その呼びかけを自社の区画に降ろすための道具にすぎません。
今日やること
やることは多くありません。
まず、自社ドメインの中で「自社が企画していないページ」がどこにあるかを、URL のディレクトリ単位で書き出します。提携ページ、寄稿、投稿型の一覧、外部ツールが吐き出しているページ。次に、その一覧に5つの質問を当てて、赤の数を数えます。最後に、赤が2つ以上ついた区画だけを、掲載継続・作り直し・取り下げのどれかに割り振ります。
一度作れば、新しい提携の話が来たときに、そのまま判断シートとして使えます。
なお、外部への発リンクの扱いや、広告・アフィリエイトのリンクに付ける属性は別の論点です。あわせて整理したい場合は広告・アフィリエイトリンクのrel属性と外部リンクの貼り方も参照してください。区画をドメインごと分けるかどうかを検討している場合は、サブドメインとサブディレクトリの選び方が判断の材料になります。
出典
