ポップアップ広告は順位を下げる?公式の線引き
スマートフォンで自分のサイトを開いたら、本文より先に会員登録の案内が全画面で出てきた。申し込みは増えている。けれど、これで順位が下がるのではないか。気がかりなのは、たぶんそこだと思います。
先に答えを書きます。Google公式ドキュメントが名指しで避けるよう書いているのは、「ページ全体を覆う」ことと「同意や入力のために別のページへ飛ばす」ことの2つです。
ポップアップを出していること自体が問題にされているわけではありません。
インタースティシャルというのは、目的のページを見る前後に画面を覆う表示のことです。公式ドキュメントの定義はこうなっています。「煩わしい インタースティシャル やダイアログとは、主にプロモーション目的で、ユーザーのコンテンツ閲覧を妨害するページ要素のことです。インタースティシャルはページ全体を覆うオーバーレイ、ダイアログはページの一部のみを覆うオーバーレイであり、場合によっては元のコンテンツが見えにくくなります」。
線が引かれているのは、出しているかどうかではありません。閲覧を妨害しているかどうかです。
だから、全部消す必要はありません。やることは、出し方の点検です。
公式が「よくあるミス」として挙げている2つ
回避すべき点は、短く2つだけ挙げられています。前置きも含めて引用します。「法律で義務付けられている場合を除き、ダイアログやインタースティシャルを設計する際には、Google 検索がコンテンツをクロールし把握しやすくするために、以下に示すよくあるミスを避けるようにしてください。インタースティシャルでページ全体を覆わないようにする。同意や入力のために、ユーザーを別のページにリダイレクトしないようにする」。
理由の書かれ方に注目してください。目的として挙げられているのは、Google検索がコンテンツをクロールし把握しやすくすることです。クロールというのは、検索エンジンがページを読みに来る動きのことです。ここを押さえておくと、直す方向がぶれません。読者に見せる前に、検索エンジンが本文にたどり着けるか。そこが起点です。
1つめは面積の話です。画面いっぱいを覆う出し方が名指しされています。
2つめは見落とされがちです。同意の取得や入力のために、いったん別のURLへ移す作りが対象になります。検索結果から来た読者が、本文ではなく同意画面のURLに着地する形は、この指示に真正面からぶつかります。
公式ドキュメントは、ユーザー側の影響もあわせて書いています。「さまざまな理由により、ウェブサイトにダイアログの表示が必要になることがよくありますが、煩わしいインタースティシャルでユーザーの閲覧を妨害すると、ユーザーの不満を招き、ウェブサイトへの信頼を損ないかねません」。
代わりに何を出すか
やめる、以外の選択肢が公式ドキュメントに書かれています。
「ユーザーの注意を引くには、ページ全体を覆うインタースティシャルではなく、画面のほんの一部だけを覆うバナーを使用しましょう。バナーを使用することで、ユーザーと検索エンジンは、ページに到達すると同時にコンテンツにアクセスできるようになります」。
ここが実務では効きます。申し込みを取る導線を捨てずに、覆う面積だけを変える。案内を消すのではなく、置き換える。「ポップアップをやめるか、順位を諦めるか」という二択ではありません。
同じ節には、こうしたベストプラクティスを取り入れる意味も書かれています。「次のベスト プラクティスを取り入れることで、ユーザーが快適にサイトを利用できるだけでなく、Google 検索がサイトのコンテンツと構造を把握しやすくなります」。アプリのインストール案内であれば、ブラウザ側で用意されているバナーの仕組みを使う方法も挙げられています。
対象外になるものもある
すべての全画面表示が同じ扱いではありません。公式ドキュメントには「必須のインタースティシャル」という節があります。
「一部のサイトでは、公開するコンテンツの種類によって、インタースティシャルの表示が必須とされます。たとえばカジノのサイトでは、ユーザーがコンテンツにアクセスする前に年齢を入力する年齢確認のインタースティシャルを表示することが必要になる場合があります。必須のインタースティシャルは、このドキュメントで説明しているガイドラインの適用対象外です」。
ここで安心して終わりにしないでください。同じ箇所は「ただし、可能であれば、以下のベスト」と続き、推奨事項が並びます。適用対象外というのは、ガイドラインの範囲から外れるという意味であって、どう作ってもよいという意味ではありません。
そして、自社の表示が本当に必須なのかは、自分で判定する必要があります。法令や規約で表示が求められているものと、売上のために出しているものは別です。 キャンペーンの案内を必須の枠に入れて考えるのは、たいてい無理があります。
ページの体験だけで順位が決まるわけではない
順位が下がると身構える前に、ページ体験の位置づけも確かめておきます。ページエクスペリエンスの公式ドキュメントには、こう書かれています。「Google 検索は、ページ エクスペリエンスが平均を下回るコンテンツも含め、常に最も関連性の高いコンテンツが表示されるように設計されています」。
単一の指標があるわけでもありません。同じドキュメントのよくある質問には「単一のシグナルはありません。Google のコア ランキング システムでは、全般的なページ エクスペリエンスを示すさまざまなシグナルが評価されます」と書かれています。
評価の単位についても記述があります。「Google のコアランキング システムは、ページ エクスペリエンスに関連する要素を把握する場合などに、一般的にコンテンツをページ限定で評価します。ただし、サイト全体での評価も一部実施しています」。
読み方はこうなります。1ページのポップアップだけでサイト全体が沈む、と決めつける必要はありません。かといって、そのページだけの問題で完全に閉じるとも書かれていません。全社的な緊急事態でも、無視してよい細部でもない。 この温度感がちょうどよいところです。
適合しているかの判定表
自社の表示を1つずつ当てはめてみてください。
| 見るところ | 妨害になりにくい形 | 妨害を疑う形 |
|---|---|---|
| 目的 | 法令や年齢確認など、表示が求められているもの | 主にキャンペーンや登録を促すもの |
| 覆う範囲 | 画面のほんの一部だけを覆うバナーになっている | ページ全体を覆っている(公式が名指しで回避を求めている形) |
| 遷移 | 同じページ内で完結する | 同意や入力のために別のURLへ飛ばす(公式が名指しで回避を求めている形) |
| 閉じ方 | 閉じるボタンがすぐ見つかり、押せる大きさ | 閉じるボタンが小さい、画面外にはみ出す、指で押せない |
| 出るタイミング | 読み始めたあと、あるいは操作をきっかけに出る | 開いた直後、本文を1行も読ませずに出る |
| 端末 | スマートフォンの実機で本文が読める | パソコンでしか確認していない |
右側に1つでも当てはまるなら、直す候補です。ただし、当てはまった瞬間に順位下落と結びつけないでください。
さきほどの会員登録の例は、どこに落ちるでしょうか。目的は登録の獲得、覆う範囲は全画面、出るタイミングは開いた直後。3つ当てはまります。これは典型的に直す側です。
一方、Cookieの利用について同意を求めるバナーが画面の下に細く出ていて、本文が読めていて、同じページ内で完結しているなら、慌てて外す理由はありません。表の左側にそろっています。
実機で確かめる5つの手順
判定表を自社サイトに通すための順番です。パソコンの画面を縮めるだけでは、実機の表示が再現されないことがあります。
- 検索から来る主要なページを3つ選ぶ。 Search Consoleの検索パフォーマンスで、検索結果に表示された回数の多いページを並べ、上位から3つ取ります。全ページを見ようとすると終わらないので、ここは絞ります。
- スマートフォンの実機で、検索結果からそのURLを開く。 ブックマークや直接入力ではなく、検索結果を経由してください。流入元によって出し分けている設定があると、ここで初めて差が出ます。
- 最初の1画面をそのまま撮る。 指でスクロールする前に画面を保存します。本文の見出しが1つも見えていなければ、覆う範囲の項目に当てはまります。
- 閉じるボタンを親指だけで押す。 押しにくい、位置が画面の外にある、2回押さないと閉じない。どれかに当てはまれば、閉じ方の項目に当てはまります。
- 閉じたあとのURLを確認する。 同意や入力のあとに別のURLへ移っていれば、遷移の項目に当てはまります。ここは公式が名指しで避けるように書いている形です。
5つを通すと、判定表のどの行に当たっているかが具体的に決まります。直す順番は、当てはまった行の数ではなく、検索結果に表示された回数の多いページからにしてください。同じ作りでも、影響を受ける読者の数が違います。
手順を1本通した場合
たとえば料金ページで、開いた直後に全画面の資料請求の案内が出ていたとします。手順3で本文の見出しが1つも写らず、手順4では閉じるボタンが右上の小さな×だけ。手順5では別のURLには移っていない。
このとき当てはまるのは、覆う範囲・タイミング・閉じ方の3行です。遷移は問題なし。目的は登録の獲得なので、必須の枠には入りません。
直し方は、公式が挙げている置き換えから始めます。全画面をやめて画面の一部を覆うバナーに変える、開いた直後ではなく読み始めたあとに出す、閉じるボタンを指で押せる大きさにする。表示そのものをやめる判断は、この3つを試したあとで十分です。
つまずきやすいところ
「対象外」を広く取りすぎる。 年齢確認は公式ドキュメントに例として挙げられています。売上のための案内を同じ枠で考えるのは無理があります。判定の起点は、表示しないと法令や規約に反するかどうかです。
パソコンだけで確認して終える。 出し方が端末で分かれていることがあります。手順2を実機でやる理由はここにあります。
順位の変動をポップアップだけで説明する。 順位は競合の動き、検索結果の仕様変更、季節性など、複数の要因で動きます。直したあとに順位が戻ったとしても、それだけが原因だったとは言い切れません。変化を見るときは、他に何が動いたかを1つは書き添えておくと、あとで判断を誤りません。
全部やめてしまう。 公式ドキュメントが問題にしているのは閲覧の妨害です。妨害していない出し方まで消す必要はありません。
直したあと、何を見るか
直したかどうかは、実機でもう一度5手順を通せば確認できます。効いたかどうかは、検索での見え方の変化で見ることになります。
Search Consoleで対象ページの数字を追うわけですが、クリックされた回数が動く理由はポップアップだけではありません。切り分けの順番は、Search Consoleのクリック数が減ったときの点検手順にまとめてあります。表示された回数と順位のどちらが動いたのかを先に確かめると、余計な作業が減ります。
Wemiroでは、こうした点検項目と検索での数字を同じ画面に並べて、直す順番を決めやすくしています。実機での確認は自分の手で必要ですが、どのページから手をつけるかは、表示された回数の多い順に自動で並べられます。
出典
