「動画がメインコンテンツではありません」を直す前の仕分け方
Search Console の動画インデックス登録レポートを開くと、「動画がページのメインコンテンツではありません」がずらりと並んでいる。件数は増える一方で、減る気配がない。
最初に決めるのは、直し方ではありません。そのページを「動画を見に来るページ」にしたいのかどうかです。ここを決めずに手を動かすと、記事本文を削って動画を上に持ち上げる、という一番割に合わない改修に向かいます。
公式が要件を書いているのは「ページ」ではなく「視聴ページ」
Google の「動画のベスト プラクティス」は、動画の要件をページ一般の話としては書いていません。**視聴ページ(watch page)**という単位で書いています。
The watch page must be indexed. The indexed watch page must be performing well in Search before its video can be considered for indexing.
日本語にすると、視聴ページがインデックスされていること、そして動画がインデックスの検討対象になる前に、そのインデックス済み視聴ページが検索で良い成績を出していること、の2つです。
順番を読み違えないでください。ページのインデックスと検索での成績が先で、動画のインデックスが後です。動画が登録されないせいでページが沈む、という向きの記述は、この抜粋にはありません。
同じドキュメントは、動画インデックス登録レポートが何を見るためのものかも書いています。「インデックス済みの視聴ページのうち何件に動画がインデックスされているか、そして他の動画がインデックスされなかった理由を確認する」レポートです。
つまりこのレポートは、サイト全体の健康診断ではありません。視聴ページとして扱われる前提のURLについて、動画側だけを見ているレポートです。記事の途中に補足で置いた動画が並んでいるとしたら、そもそもレポートの想定と自分の意図がずれています。
なお「動画がページのメインコンテンツではありません」という文言そのものは、今回参照した公式ドキュメントの抜粋の中には出てきません。公式の記述から確実に言えるのは、動画機能の入口が視聴ページであるところまでです。以下の仕分けは、その要件と自分の意図を突き合わせるための実務手順として読んでください。
直す前にやる仕分け(7手順)
未登録の一覧を、URLパターンではなくそのページを作った目的で仕分けます。
- 動画インデックス登録レポートの対象URLをエクスポートする。 件数だけ見て焦らない。手元に一覧を落とすところから始めます。
- 各URLについて「動画を消したらページが成立しなくなるか」を判定する。 成立しなくなるなら視聴ページ候補。成立するなら補足です。この一問で大半が片づきます。
- 補足に分類されたURLに、動画からの流入を狙う予定があるかを確認する。 予定がないなら、そのURLはこのレポートで追う対象から外します。
- 視聴ページ候補について、ページ自体がインデックスされているかを URL 検査で確認する。 ここが未登録なら、動画の話に進んでも意味がありません。公式要件の第一条件が満たせていないからです。
- インデックス済みの視聴ページ候補について、検索での成績をパフォーマンスレポートで確認する。 「動画」の検索での見え方フィルタが用意されているので、そこで動画としての露出を切り出せます。
- 成績が取れているページに絞って、後述の実装チェックに進む。 逆に、ページ自体が検索でまったく拾われていないなら、先に潰すのはページの中身です。
- 仕分け結果を一覧に書き戻し、次回はこの列だけを見る。 毎回ゼロから分類し直すのが、このレポートで消耗する一番の原因です。
手順2でつまずいたら、ページのタイトルを声に出して読んでみてください。タイトルが動画の内容そのものを指していないページは、まず視聴ページではありません。
仕分けの分類表
| 分類 | 具体例 | このレポートでの扱い | 次にやること |
|---|---|---|---|
| 視聴ページ | 製品デモの解説動画1本のために作ったページ、セミナー録画の公開ページ | 追う。未登録の理由を潰す対象 | 手順4〜6と実装チェック |
| 補足として埋めた動画 | 手順記事の途中に置いた操作動画、商品詳細ページの使用イメージ | 件数として数えるだけ。個別対応しない | 記事本文の改善に戻る |
| 装飾・背景の動画 | トップページの背景ループ、ヒーロー領域の無音映像 | 追わない | そもそも動画として検出させる必要があるか見直す |
| 外部埋め込みで自社が配信していない動画 | 他サービスにアップした動画の埋め込み | 追わない。配信側の要件は自社で制御できない | 埋め込み元の公開設定だけ確認 |
一つめの視聴ページが、まさに手順6で「成績が取れているページ」として残るはずのURLです。二つめの補足は、手順3で対象から外れます。三つめと四つめは、そもそも手順2の「動画を消したら成立しないか」で成立する側に落ちます。
判断の目安を1つ置くなら、未登録一覧の8割以上が補足・装飾に分類されるなら、このレポートの総件数は指標として追わない。件数は視聴ページの改善と連動しないので、追っても意思決定が変わりません。逆に視聴ページ候補が半分を超えるなら、動画の実装を疑う価値があります。
ワークスルー:手順記事に3分の操作動画を埋めている場合
具体例で1本通します。設定手順を解説した記事の中盤に、実際の操作画面を録画した3分の動画を埋め込んでいる。ここに「動画がページのメインコンテンツではありません」が出ている、という状況です。
手順2をやります。この動画を消したら、記事は成立するでしょうか。成立します。手順は本文のテキストと画像で最後まで書かれていて、動画は理解を助ける補助だからです。この時点で分類は「補足」に決まります。
手順3に進みます。この記事に動画検索からの流入を期待しているか。していません。狙っているのは設定手順のテキスト検索です。
ここで終わりです。**このURLは対象から外します。**動画を記事の先頭に移す必要も、周囲の解説文を削る必要もありません。むしろ、動画をファーストビュー(スクロールせずに最初に見える領域)へ持ち上げるために本文の導入を削ると、テキスト検索で拾われていた冒頭の記述が痩せます。得たいものと失うものが釣り合いません。
同じ動画を視聴ページとして出したいなら、記事を作り替えるのではなく、その動画を主役にした別ページを用意するほうが素直です。記事はテキスト検索用、視聴ページは動画用と、役割を分けられます。
視聴ページとして残すと決めたページで潰す順番
ここからは実装の話です。公式ドキュメントで確認できる要件を、上から順に潰します。
- 視聴ページがインデックスされているか。 URL 検査で確認します。要件の一段目なので、ここが通らない限り先はありません。
- その視聴ページが検索で成績を出しているか。 公式の要件は「インデックス済みの視聴ページが検索で良好な成績を出していること」なので、露出がゼロに近いページで動画側だけ整えても順番が逆になります。
- 動画ファイルが対応形式か。 Google が処理できるファイル形式として、3GP、3G2、ASF、AVI、DivX、M2V、M3U、M3U8、M4V、MKV、MOV、MP4、MPEG、OGV、QVT、RAM、RM、VOB、WebM、WMV、XAP が挙げられています。データURL(
data:から始まる埋め込み)は対応していません。 - 安定したURLで配信しているか。 公式は動画ファイルを安定したURLで提供するよう求めています。短時間で失効する配信URLを使っている場合は、ここが疑わしくなります。
- CDN 配信なら、両方のホストを点検する。 公式の例では、
example.comにstreamserver.example.comの動画を埋め込む場合、両方が Google 検索の技術要件を満たし、サーバー容量に余裕がある必要があるとされています。CDN を使っている場合、クロールエラーについて Search Console の通知を受け取れることがある、とも書かれています。 - VideoObject の構造化データを置き、Google がそのページを見つけてクロールできる状態にする。 構造化データのドキュメントは、Google がページを見つけてクロールできる必要があること、そして今後の変更を伝えるためにサイトマップの送信を推奨しています。サイトマップの送信は Search Console Sitemap API で自動化できます。
- デプロイしたら、リッチリザルトのステータスレポートで推移を見る。 公式が示す理想は「有効な項目が増え、無効な項目は増えない」状態です。問題が見つかったら無効な項目を修正し、URL を検査します。動画リッチリザルト レポートは、VideoObject 構造化データの問題を確認・修正するためのレポートとして案内されています。
3〜5は、動画そのものが Google 側で扱えているかの確認です。6と7は、扱えている前提でどう伝えるかの話になります。だから順番を飛ばさないでください。構造化データを先に足しても、ファイル形式や配信URLが要件から外れていれば、直したことにはなりません。
つまずきやすいところ
構造化データを入れれば視聴ページになる、ではありません。 構造化データのドキュメントが説明しているのは、VideoObject などで検索での見え方を高められること、そのためにページが発見・クロールできる必要があることです。ページの役割そのものを構造化データが書き換えるという記述は、参照した抜粋にはありません。
件数がゼロにならないのは異常ではない場合があります。 一覧に並ぶURLのうち、自分が手順3で対象から外したものが積み上がっているだけ、ということが起こります。総件数だけを追うと、この違いが見えません。だから、追うのは仕分け後の視聴ページ候補の数にしてください。
改修の効果判定を急がないでください。 公式の要件が「インデックス済み視聴ページが検索で良好な成績を出していること」を動画インデックスの前段に置いている以上、動画側の変更だけで結果が動くとは限りません。ページの露出、季節性、競合の動きといった要因が同時に効くので、動画の実装を直した直後の変化は仮説として扱うのが安全です。
自己点検チェック
| 確認したいこと | 見る場所 | 「進んでよい」の目安 |
|---|---|---|
| 未登録URLの内訳 | エクスポートした一覧+手順2の判定 | 視聴ページ候補が特定できている |
| ページ自体のインデックス | URL 検査 | 登録済みになっている |
| 検索での成績 | パフォーマンスレポート(「動画」の検索での見え方フィルタ) | 露出が観測できている |
| 動画ファイル | ファイル形式と配信URL | 対応形式かつ安定URL、データURLを使っていない |
| 配信ホスト | サイト側と CDN 側の両方 | 双方が技術要件と容量を満たす |
| 構造化データ | 動画リッチリザルト レポート | 無効な項目が増えていない |
上から順に埋めて、どこで止まるかを見てください。多くのサイトは一行目で止まります。それは失敗ではなく、このレポートを追う必要がないという結論が出た状態です。
未登録レポートを目的別に仕分ける考え方は、動画に限りません。同じ発想でクロール済み・未登録の一覧を整理する手順はクロール済み - インデックス未登録にフィードURLが並ぶときに、ページ側のインデックスから切り分ける手順はページがインデックスされない原因の切り分けにまとめています。
出典
